ウォッチワインダー、ウォッチワインディングマシーン、自動巻き時計巻き上げ機、などの呼び方で様々な商品を見かけますが、具体的にどのような装置なのか気になられる方も多いでしょう。
自動巻き機械式時計は、普段から着用することによって腕の動きを通してゼンマイを巻き、時を刻みます。腕の動きから起こる小さな刺激によって自動巻きローターが回転し、歯車を経由して、内部の主ゼンマイを巻き上げています。巻き上げられた状態がほどける力をエネルギーにして動く仕組みです。主ゼンマイにはエネルギーが蓄えられますが、時計を長時間静止させたままだと、やがてその張力を使い果たして時計が止まってしまいます。
時計のスペックにある「パワーリザーブ」は、このエネルギーの貯蔵時間、つまり、最大に巻き上げた状態からゼンマイを巻かずに時計が動き続ける時間の目安です。
利便性や精度の観点からパワーリザーブも進化しており、一般的には大体35時間から48時間ほどのものが多いですが、最新のムーブメントだと60時間から72時間が標準になっているようです。もっと長いものでは、例えばIWCのポルトギーぜ・オートマチックは7日間、ウブロのビッグバンMP-11などは14日間、さらにA.ランゲ&ゾーネのランゲ31のように約31日間を誇るモデルもあります。このような特殊モデルでない限り、ゼンマイを巻かないと大体1.5日から3日程度で時計は止まってしまいます。
また、時計が静止した状態で長時間放置していると、内部の潤滑油が偏って文字盤を汚したり、円滑油が固まってムーブメントの動きを害したり、防水パッキンの劣化を早めたりする懸念もあるようです。最新モデルは内部の潤滑油のクオリティーも進化しているようですが、油の偏りによるトラブルの可能性は防ぎたいところです。
ウォッチワインダーを使うことにより、時計をセットしてスイッチを入れるだけで、装着時と似た動きや刺激を再現して時計を動かし続ける事ができます。パワーリザーブの時間が過ぎても手動で時計を巻き上げる必要がなく、いつでも使える状態を保ち、止まったまま放置することによる劣化の可能性も防げます。
特別な日にのみ着用したり、複数のコレクションを持っている場合でも、手間なくすぐに腕時計を使えるので、多忙な毎日においては便利で頼もしい味方です。